さて、私は断水するという事実を市長に伝えなければなりません。あやふやな記憶ですが、市長公室に内線電話を入れ広宿室長に市長への伝言を依頼したような気がします。
その時に得た市内の状況は、吉田地域で10人位の犠牲者・行方不明者が出ているようだという情報でした。人的被害が出ています。『これは大災害だ』そう頭に浮かびました。この行方不明者の中には、水道局職員A君の肉親3名も含まれているということを知るには、このあとさほど時間を必要としませんでした。水道局の複数の職員にそのような情報が入ってきていたのです。
また、行方不明者には、残念ながら元議会事務局長のBさんも入っていました。Bさんは新市合併当初、関係職員で島嶼部を視察に行った際に初めて知り合ったのですが、その後も私の事を何かと気にかけてくれ、頼りになる兄貴分という感じでした。家族の目の前で一瞬のうちに土砂に飲み込まれ、帰らぬ人となってしまったそうです。A君の肉親のことを含め、心をヤスリで削られているような感覚を覚えました。
ー この記事の原文は水道産業新聞2020年(令和2年)9月14日版(第5441号)に掲載されたものです ー
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*登場する人物や組織に対する私の意見・感想は、個々の評価を意図したものではありません。また、臨場感を伴わせて全容をお伝えするために人名を記載していますが、文面に対する人それぞれの捉え方に配慮し全て仮名としています。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
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