(4)みちしるべ

終章 みちしるべ

 仙台を訪れていた私が帰路に就く頃のことです、10月17日の水曜日、三間地域の水源を暫定の中山池から本来の野村ダムへ切り替える旨の報道発表がありました。前日、出張先で受け取っていた情報のとおりです。

 その日のうちには順次原水の切り替え作業が始まります。そして10月末を目標に、末端給水栓まで新たな水に置き換える手はずです。

 10月24日水曜日、私のお礼行脚が南九州に達していた頃、業務課の鴨脇課長から連絡が入りました。8月中旬以降吉田地域で高くなっていたジェオスミンの値が、基準値に収まったとの内容です。そして鴨脇は私に確認します。ペットボトル水の配布を終了しても構わないか、と。私の返答は当然「OK」です。

 そして翌25日19時、吉田支所で続けてきたペットボトル水の配布が終わりました。

 10月31日水曜日、三間地域ではついに末端給水栓まで野村ダム原水由来の水道水へと置き換わり、検査にも合格です。同日19時には三間地域でもペットボトル水の配布が終了し、ここに7月7日から4箇月近く続いていた宇和島市水道局による一連の応急対応が完結しました。

 この災害対応で、我々は多くの教訓を得ることができました。ただ、闘いはこれからも続きます。代替浄水施設の安定化に向けた第2期工事、そして、被災した吉田浄水場に代わる恒久的施設の建設、更には管路施設の老朽化や給水人口の減少など、多くの事業や課題が待ち構えています。

 でも我々は立ち止まることなく、これからも一歩一歩進んでいかなければなりません。仲間の助けを借りながら、また、たとえひとつひとつが小さく見つけにくくとも、多くの先人達が残してくれた確かな道標に導かれながら。

ー この記事の原文は水道産業新聞2022年(令和4年)3月3日版(第5564号)に掲載されたものです ー


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*登場する人物や組織に対する私の意見・感想は、個々の評価を意図したものではありません。また、臨場感を伴わせて全容をお伝えするために人名を記載していますが、文面に対する人それぞれの捉え方に配慮し全て仮名としています。ご理解のほどよろしくお願いいたします。

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