三、(3)綱渡り状態だった吉田地域代替浄水施設の現場

第三章 一日でも早く

 昼食を終え暫くくつろいでいた12時58分、仁村が血相を変えて私の部屋に飛び込んできました。概ね決まっていた吉田地域代替浄水施設からの通水スケジュールが、現場の事情で変わる可能性が生じたというのです。

 実は午後1時のニュースリリースには、則配水池での通水式の案内と吉田地域での通水予定時期の見込みを掲載することにしていたのでした。調整の結果8月4日土曜日の午後には通水可能になるとの見通しとなっていましたので。各社へのFAX開始まであと数分、仁村からの説明が終わる前に私は急いで市長公室の木場補佐へ電話をします。短い呼び出しののちに木場補佐は出ました。『間に合ったか?』私はそう思いながら伝えます。「配信中止!」と。彼の冷静な反応に間に合ったことを直感しました。ただ、市長・副市長からは各方面に連絡を既に開始しているとのことです。私は木場補佐に概要を伝え、そして両氏へこの件について報告することを依頼しました。

 その後は南予水道企業団の調整をひたすら待つのみ、ニュースリリースも当然待ってもらっています。

 待ちの体制を保っていた15時45分、南予水道企業団の竹本事務局長と保利浄水課長がやってきました。状況説明のために。詳細は割愛しますが、現場は綱渡り状態との説明に納得した私は調整を待つこととしました。

 その直後、市長公室の広宿室長から私への電話です。発表を保留している吉田地域の通水スケジュールについて、市長がかなり心配していると。でも私は待ってくれと言うしかありません。広宿室長から市長へその旨伝えてもらうことで電話を切りました。

 16時40分、やっと結論が私に届きました。精査の結果、当初のスケジュールを変更しないでやってみることになったという内容で。私はすぐに広宿室長へ電話をし、保留していたニュースリリースを報道機関に流すよう依頼したのでした。

 17時地元某テレビ局から私への電話です。8月上旬と公表済みの代替浄水施設からの通水は、いつになりそうかとの問い合わせでした。『ん?』話しぶりからするとまだニュースリリースを見てない様子です。でもGOサインを出してから既に20分、迅速な市長公室のことを考えればおそらく各報道機関には届いているはずです。私は確認する必要があると判断し、折り返し電話することで一度電話を置きました。

 市長公室木場補佐に確認すると、既に全社へ流し終えたとの返答です。そのため公表可とお互いが確認し、某テレビ局へニュースリリース送信済みの件とその内容について電話を入れました。


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