我々の使命は何としてでも2地域に向かうルートを見つけること。現場に出た職員たちから届く情報、そしてやっと点けたテレビからの情報を元にルートを絞り込んでいきました。
8時40分頃から断続的に届く情報でわかったのは、吉田地域に向かう国道56号は高串での大規模な土砂災害で通行が不可能であること。大浦黒の瀬峠経由で吉田地域に向かう県道274号も崖崩れで通れないこと。更には西予市と吉田地域を結ぶ国道56号も、法華津峠での大規模な土砂災害で通行が不可能なことでした。
吉田地域は完全に孤立状態となっていたのです。
一方、三間地域に向かう県道57号も、その手前の北宇和島付近が大規模な浸水に見舞われた関係で全く機能していません。しかし自動車専用道路(宇和島道路と四国横断自動車道)が無事でした。それを利用すれば三間には水を届けることが可能です。
状況収集とともに、断水の連絡などの連絡を三間支所長の樺と取り続けていた仁村は、早速応急給水所の設置個所についての相談を樺と行いました。まずは駐車場が広く、地区内からのアクセスが便利な「道の駅みま」です。そして耐震性貯水槽の状況を確認する必要があるものの、それが使用できるなら60立方㍍という大容量のタンクを活用できる三間中学校。また、その2カ所から遠い二名地区にも二名小学校で設営します。これら3カ所を第1段階で展開する応急給水所とすることとしました。
そんな中10時少し前、仁村に自衛隊から知らせが入りました。各所で人的被害が発生し行方不明者捜索が急務な状況となっていたことから、自衛隊は人命救助優先で給水活動は行えないと。
両地区とも各配水池が空になるのは時間の問題です。応急給水所の開設を最低限に抑えたとしても、局所有の加圧給水車1台で各給水所の据え置きタンクに十分な水を補充するのは現実的ではありません。水を求める市民に更なる不便を強いることとなりそうです。
ー この記事の原文は水道産業新聞2020年(令和2年)9月17日版(第5442号)に掲載されたものです ー
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