ところでこの日、前日到着した仙台市水道局の桜島次長と皆野課長の二人から少しだけ話を聞くことができました。
この時点で、仁村と私にとって一番わからなかったことは、一刻も早い復旧工事に着手したいが、災害査定前にどう進めたらいいのかということでした。
激甚災害への指定がほぼ間違いないとの情報は得ていたのでしたが、通常の災害復旧事業の進め方で行くと、その事業着手までにとんでもない時間がかかります。早期に着手しながら金銭的な支援を受ける方法が全く分からなかったのです。
二人には、我々の頭に疑問符〝?〟がいくつも浮かんでしまうこの質問をぶつけました。すぐに返ってきたのは、写真をきちんと撮りながら工事を進めれば良いという実に単純明快な答えです。査定設計書はそれを元にあとで作れば良いので、広域災害の今まず急がなければならないのは、コンサルタント会社を捕まえることというアドバイスも添えて。
今度は頭の中が感嘆符〝!〟でいっぱいです。『来てもらって良かった!』ここにも感嘆符が付きました。東日本大震災での不幸な経験が、姉妹都市のここ宇和島市で活きました。
余裕が無かったこの時は思い及ばなかったのですが、時間が経つにつれて頭の中でひとつの思いが固まってきました。『我々宇和島市の職員も、今回の災害で経験したことを日本中に広く伝えていかなければならない。それがこれからの我々の務めだ』という。
ー この記事の原文は水道産業新聞2020年(令和2年)12月7日版(第5460号)に掲載されたものです ー
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