一、(5)ヒト・モノ・ヒト

第二章 一歩一歩

 18時、私は本庁災害対策本部会議に出席し、今日着手した復旧の状況や応急旧給水所開設状況を報告しました。

 ただこの日は報告だけでは終わりません。この時点で、日水協・自衛隊合わせて21カ所開設していた応急給水所をこれ以上増設するのは終了し、運営の効率化・省力化によって応急給水の長期戦に向けた体制作りを進めていくことを報告、いや、宣言しました。据え置き1㌧タンクの増強によって、集結している加圧給水車の削減が可能となったという状況説明を交えて。

 そして、それ以上に声を張り上げたのは、持続性の確保にはこれまで以上の人的支援が必要という強い要請でした。

 この背景には、発災からの1週間、水道局の職員が無理をしながら応急給水所の運営を担ってきたという状況があります。このまま続けていたのでは、復旧作業等、次のステップに移れない。それ以上に、この間、余力を残しながら災害対応にあたっていた本庁職員と違い、休み無しで朝早くから夜遅くまで目の前の業務に励んでくれた水道局の職員たちに、疲労の色が濃く見え始めてきたという更なる強い危機感があったのです。

 この危機感がこの日の私を一段と雄弁にさせました。

ー この記事の原文は水道産業新聞2020年(令和2年)12月7日版(第5460号)に掲載されたものです ー


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*登場する人物や組織に対する私の意見・感想は、個々の評価を意図したものではありません。また、臨場感を伴わせて全容をお伝えするために人名を記載していますが、文面に対する人それぞれの捉え方に配慮し全て仮名としています。ご理解のほどよろしくお願いいたします。

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