三、(4)浄水場復旧調整会議

第二章 一歩一歩

 13時30分、南予水道企業団1階の会議室に多くの関係者が集まって、浄水場復旧調整会議が開催されました。代替浄水施設の早期完成に向け関係者全員で知恵を絞る、本当に重要な節目の会議です。

 集まったのは南予水道企業団・宇和島市水道局・愛媛県・厚生労働省・陸上自衛隊・設計コンサルタント会社・総合水事業関連企業・可搬式水処理装置関連企業・柿原浄水場の運転管理を委託している社会インフラ事業関連企業、そして松山市・仙台市・横浜市、会議室の中が一杯となりました。

 吉田地域・三間地域のそれぞれで何がボトルネックとなるのか、解決済みの事項を含め南予水道企業団の竹本事務局長が資料に従い説明していきます。

 出席したメンバーが抱いていた懸念は、概ねその資料に整理されていた想定と一致していました。

 まず、代替浄水施設の基幹設備となる可搬式水処理装置は、現在のところ両地域最大必要水量の7割程度の能力分を確保できる見通しのようです。給水課長の仁村によると、多くの人が帰省する盆と正月は給水量が跳ね上がり、中でも酷暑のお盆は1年の給水量ピークとなるとのことですが、通水開始が仮にそのタイミングになったとしても、徹底的な節水を要請しながら乗り切るしかありません。そのことに引っかかる者は流石にいませんでした。

 それよりも大型の水処理装置の運搬問題です。同機は東京オリンピックのカヌースラローム用に準備され、当時茨城県高萩市で東京都への納入待ちでした。

 結果的に、国・東京都・愛媛県・民間企業の連携によって南予水道企業団への融通が実現し、また、最終的には陸上自衛隊による輸送が実現したことで、現場到着の工程が大幅に短縮されたのでしたが、本来ならば、通過する都府県全ての知事許可が必要で、現地への到着までに時間がかかり過ぎるという懸念があったのです。この日はこの件についてまだ調整を進めている段階でしたので、当然ながら大きな懸念事項のひとつでした。

 この融通と輸送の舞台裏については一部の報道機関が詳しく取材し、現在(執筆時)でも「吉田・浄水器・自衛隊・運搬」のキーワードでネット検索すれば記事がヒットしますので、ここに詳細を記すのは控えておこうと思います。

ー この記事の原文は水道産業新聞2021年(令和3年)1月14日版(第5468号)に掲載されたものです ー


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