さて、その後すぐ、仁村給水課長と二人の給水課職員の来室です。このように、複数名の部下を連れて仁村が部屋に入ってくるときは、ほぼ100%何か問題が起き、その策について担当者から説明させるという場合なのですが、この時も例外ではありません。音地水源から隣接区域への融通に関する進捗状況と問題点の報告でした。
嘉村主任が地元に乗り込み、地元への提出文書の記載内容について了承を得たのでしたが、更なる問題が音地地区の下流にあったとのことなのです。音地水源は告森川となって音地地区を潤しながら三間川へ合流し、やがて広見川と四万十川を経て太平洋へと至っています。
この告森川は、東隣の北宇和郡鬼北町の一部を流れて三間川へ合流するため、その鬼北町で水利権を持つ農業者への説明が必要だというのです。私は天を仰ぎました。『またか』と。
ただ、私からこの件について任せられていた給水課は、既に三間の樺支所長と相談の上で、支所長から市長に対して、鬼北町長との調整を要請したとの事でした。この案件は、宇和島市の中だけでは解決しない問題だったのです。
早速17時10分、市長から私へこの件についてのレクチャー依頼の電話がありました。そして市長はその直後に鬼北町長へ電話で調整を要請し、鬼北町長快諾の知らせを早くも17時25分には私に届けてくれたのでした。本当に頼りになる市長です。
市長からの電話が入る前、この件を私に報告した仁村は一人部屋に残り、もう一つの心配事を私に伝えました。他市の管工事組合に支援を申し入れる際の手続きについてです。
この点は、宇和島市管工事組合との早めの調整を仁村へ指示し、私は次の作業に取り掛かりました。間もなく、水道災害対策本部会議を初開催することが決まっていましたので、その準備です。
準備とは言っても大したことをするつもりはありません。本庁災害対策本部会議のような、資料を読めばその目的の大半は終わってしまうようなものにしたくありませんでしたので。
ー この記事の原文は水道産業新聞2021年(令和3年)4月15日版(第5490号)に掲載されたものです ー
《無断転載はお断りいたします。》
*登場する人物や組織に対する私の意見・感想は、個々の評価を意図したものではありません。また、臨場感を伴わせて全容をお伝えするために人名を記載していますが、文面に対する人それぞれの捉え方に配慮し全て仮名としています。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
コメント