二、(13)厚生労働省水道課(四)~最後のリエゾン着任~

第三章 一日でも早く

 

 さて、多忙な北橋管理者が、次に予定されている被災現場の視察へ同市職員と向かった頃、副市長から電話が入りました。

 南予水道企業団が突貫工事で進めている代替浄水施設の完成が間近となり、その次の一手をどうするかということです。

 次の一手とは、同施設からの通水開始に際してのセレモニーをどうするかということなのですが、そんなことなど頭に無かった私は正直戸惑いました。ただ、このようなことを県で重ねてきた副市長の意見は貴重です。とりあえず通水可能な日時などを詰めたのちに具体化することとしましたが、結果的にこのようなセレモニーの実施は絶対に必要だったということを、あとで知ることになるのです。

 南予水道企業団の竹本事務局長によると、通水開始日時の設定にはもう少し詰めが必要とのことでしたので、私はこの概要を仁村水道局長に伝え次の一手に備えた準備をすることにしたのです。

 13時10分、厚労本省リエゾンの交代です。この日までの穂積課長補佐が帰省し大池課長補佐の駐在となりました。物腰穏やかでどちらかというと待ちスタイルだった穂積課長補佐とは少しタイプが違うようです。

 実際これまでの3名のリエゾンは、本庁災害対策本部会議へ出席することは無かったのでしたが、大池課長補佐は議員協議会室へと開催場所が移っていた同会議で、いつの間にか私のはす向かいの席に座り出席するようになっていたのです。ひょうひょうとした行動をする同補佐でしたが、やはりそれまでのリエゾン同様質問攻めや指示などはありませんでした。

 10分後、その厚労本省から電話です。電話の相手は2週目のリエゾンで赴任した金井課長補佐でした。ひょうひょうとしながらも大池課長補佐とも違うタイプの同補佐は、官房長官から通水時期について説明を求められているとのことでした。もしかして私の聞き間違いで官房長だったのかもしれません。ただ私にとってはどちらにせよ普段は関わりの無い雲の上の方々なのは間違いないところです。

 そのことで逆に現実からかけ離れている感覚が増長し、その時にできる回答「詳細は未定です」を即座に返していました。これが愛媛県の副知事あたりだともう少し違う言い回しになったのかもしれません。実に不思議な感覚でした。

ー この記事の原文は水道産業新聞2021年(令和3年)6月14版(第5503号)に掲載されたものです ー


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