月が替わり8月1日水曜日、発災26日目の朝8時、私は既に強烈な日射しが照り付ける宇和島市管工事協同組合の事務所横駐車場にいました。
そこには様々な現場服を纏った多くの人が集結しています。県内各地の管工事組合の面々が、宇和島を支援するために集まってくれていたのです。
吉田・三間両地域の代替浄水施設から水が送られ始めたならば、1分1秒でも早く各戸の蛇口から水が出るようにするのが水道局の役目です。そのカウントダウンは既に始まっています。そのため水道局では事前調査で送配水管の破損が疑われる箇所をある程度抽出していたのでしたが、その修繕、そして通水が始まらなければ判明しない漏水箇所の即時の修繕を担ってくれるために、旗振り役の愛媛県管工事協同組合連合会のもと、天赦公園に近接したこの地に集結してくれたのです。
私はその出発式で時間を少しだけもらいました。謝意と共に「宇和島を助けて下さい」との簡潔な挨拶をするために。短すぎるとも思える言葉を発する間、私は集結してくれている面々を見渡しました。全員が私を見ています。そして頷いてくれる人もいます。私は思いました、『よし』と。
9時25分、帰局後の私に電話が入りました。相手は副市長です。どうやら知事が秘密裏に三間則配水池での通水式へ出席しそうだというのです。そしてその後、地域内を視察しながら蛇口から水が出るのを確認するまで滞在する意向だということも私に伝えます。そのため配水池からの通水開始後、例えば道の駅あたりで水が出始めるまでにどの位の時間がかかるのか、副市長は私に尋ねます。
この件については既に仁村に確認済みでした。概ね2時間程度だろうと。私はそのことを副市長に伝えます。いろいろなことがいろいろなところで動き始めました。また、動き始めると止まらないのが副市長です。次から次へと策を繰り出していきます。
11時、再び副市長から電話です。今度はニュースリリースと放送の文案を確認するようにとの要請です。副市長自ら作成した文案をメールで受信し確認、すぐさま問題無しの返答をしました。
ニュースリリースを市長公室が各報道機関に流すのは午後1時の予定です。余裕をもって確認作業を終えることができました。やれる人間がやれることを即時に行う、平時は水道事業への関わりが例規上希薄とならざるを得ない副市長や、市の広報事務を統括する市長公室、全員が協力・分担しながらこの難局を乗り切ろうとしています。
ー この記事の原文は水道産業新聞2021年(令和3年)6月28日版(第5507号)に掲載されたものです ー
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