二、(1)出動と支援要請

第一章 浄水場喪失

 さて、応急給水体制を整えようと職員は出動していったのですが、災害の全貌がつかめない中で彼らが目にしたのは、甚大な被害を受けていると思われていた吉田地域だけでなく、宇和島地域でさえ土砂・浸水の影響で道路が寸断され、目標地点にはどのルートを通っても行きつけないという現状でした。犠牲者のことと届き始めたそれらの情報によって、我々はやっと新旧宇和島市史上最悪の災害が降りかかってきたという現実を思い知ることになったのです。

 そのような状況に打ちのめされて何もしなければ、暑い夏場、飲み水が各家庭からすぐに消えて行ってしまいます。即刻、次の一手また次の一手を打っていかねばなりません。

 8時45分頃まず自衛隊に応援を要請し、そして日本水道協会の仲間の支援を要請することとしました。しかし道路状況が全く見えないその時、日水協に正式に要請することはできません。取り敢えず業務課の中松補佐を通じて現状の報告をすることで、次の一手に向けた布石を打つだけとしました。

ー この記事の原文は水道産業新聞2020年(令和2年)9月17日版(第5442号)に掲載されたものです ー


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*登場する人物や組織に対する私の意見・感想は、個々の評価を意図したものではありません。また、臨場感を伴わせて全容をお伝えするために人名を記載していますが、文面に対する人それぞれの捉え方に配慮し全て仮名としています。ご理解のほどよろしくお願いいたします。

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