二、(8)松山市公営企業局(一)~支援要請~

第一章 浄水場喪失

 午前8時、まず日水協愛媛県支部長都市松山市の平松公営企業管理者へ電話を入れました。県支部は昨日から即応態勢でいてくれていたようです。平松管理者もすぐに電話に出てくれました。

 昨日の本庁災害対策本部会議の際、最高責任者である市長から現場指揮の全権を与えてもらい給水車要請の了承も得ていたことから、正式に給水車の派遣要請を平松管理者に行いました。

 平松管理者からは、「昨日から県内各事業体への応援要請をしているが、西予市など、給水車の無い事業体への派遣を優先している」との言葉が返ってきました。西予市の他、大洲市も大きな水道施設被害を受けていることは昨日の電話で知らされていましたが、それらの市へ給水車を派遣しなければならない事情を考えても、その言葉は絶望的でした。

 目の前が暗くなりかけたその時、次の言葉が続けて受話器を経由して私の耳に入ってきました。「ただ、四国中央市から、人は出せないが加圧給水車だけはすぐに出せるとの回答をもらっている。そのためうちの職員がそれを借りて給水活動を行えるよう、今取りに行っている。また、松山市が浄水場運転を委託している業者との協定により、その加圧給水車も出すよう要請している。これから松山市公営企業局が直接宇和島に乗り込むので、準備が整い到着するまで持ちこたえて」と。

 その力強い言葉にどれほど励まされたか、これは説明するまでも無いことでしょう。

 感動する時間はありません。私はお礼を言い早々に電話を切り、9時から始まる本庁の災害対策本部会議へ向かいました。その頃本庁からの応急給水所運営スタッフが、先遣隊として昨晩派遣された3名から7名に増員されていたようです。ただ、まだまだ足りない…。

ー この記事の原文は水道産業新聞2020年(令和2年)10月1日版(第5445号)に掲載されたものです ー


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