本部会議を終え帰局した14時頃、南予水道企業団職員と上下水道関連コンサルタント会社社員が、発災後初めて被災した吉田浄水場に入っていました。肉眼で惨状を目の当たりにして施設の復旧は現実的ではないことを再確認し、現地での復旧断念を企業長である宇和島市長に上奏することが決まったのです。
我々宇和島市水道局は、浄水を南予水道企業団から受水できなくなった言わば被害者です。普通ならば、「じゃ、どうするの?」と問い詰めるところなのですが、お互いにそんな余裕はありません。特に水道局は各応急給水所の運営で精いっぱいで、しかも吉田病院などの心配もしなければなりません。
その吉田病院に先駆けオレンジ荘では、図面等の情報を元に協議した結果受水槽への給水は可能と判断されました。そのため水道局から貸し出した電動水中ポンプと1㌧タンクを使用し、病院局の職員によって16時ごろから受水槽への充水が開始されました。同様に吉田病院でもその後18時ごろから同様に開始されました。
受水槽が空になる寸前で間一髪何とか間に合いました。病院に対する応急給水体制については今後課題が残ることとなりましたが、災害の程度によってケースバイケースで対応するしかないのかもしれません。
ー この記事の原文は水道産業新聞2020年(令和2年)10月26日版(第5450号)に掲載されたものです ー
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