今後の重要方針を決めた市長室での協議を終え、私は柿原の水道本局に急ぎ戻りました。代替浄水施設は南予水道企業団側にお任せし、喫緊の課題である応急給水体制の強化を進めなければなりません。今後の方針が決まったとは言え、代替浄水施設の稼働は早くて8月下旬です。今から2カ月近くを応急給水でしのがなくてはならないのです。
帰局すると早速仁村から報告がありました。吉田小学校に応急給水所を新たに開設したこと、これまでの応急給水所の展開により各所とも混雑度がかなり低下したこと、どちらも明るいニュースでした。取り敢えず両地区の市民は落ち着きを取り戻してくれたのでしょう。
次に心配したのは、応急給水所から市民がどうやって水を持ち帰っているかということでした。水袋には限りがあるのでいつまでも渡し続けることができません。かと言って各々に準備して欲しいとも言えません。
実は水道局には6㍑ポリタンクが8千個備蓄されています。それを利用したらどうかということとなったのですが、柿原水道本局から車で30分少々の三浦配水池の建屋内に保管されているため、その運搬にはかなりのマンパワーを取られてしまいます。
17時30分からの災害対策本部会議では、その運搬手段についての問題提起とともに応急給水所の現状などを報告しました。
なお災害対策本部会議は、これまで定員約20名の本庁401会議室で開催されてきたのでしたが、この会議からは広さが倍以上の議会棟第1委員会室へと会場が移りました。市の幹部を中心とした会議から、国・県等からの支援者を加えた会議に移行し始めたのがこの頃だったのです。
ー この記事の原文は水道産業新聞2020年(令和2年)11月2日版(第5452号)に掲載されたものです ー
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