発災20日目の7月26日木曜日です。普段であれば大小さまざまな地元からの質問・要望などを我々に伝えてくる24名の市議会議員でしたが、発災後は影を潜めているようでほとんどありません。多忙な我々を気遣ってくれているのでしょう。そんな中8時30分、長老の徳本市議からの連絡が私に直接入りました。
ねぎらいに続き、現在の状況や具体的な通水予定日について聞かれましたが、それについてはまだ決まってないと率直に答えるしかありません。また、清水議長からの質問と同様、吉田地域・知永配水区と宇和島地域・高串配水区をつなぐ細い連絡管を利用して、知永配水区への融通は出来ないかとも聞かれたのでしたが、これに対してもポンプの能力不足で叶わないと答えるしかありません。
私からの返答に現在水道局が置かれている状況を察し、徳本市議は激励の言葉を最後に電話を切りました。
それから間もなくの9時15分、地元テレビ局の記者から私への電話です。
ゆっくりと新聞に目を通すことができなくなって、既に3週間が近くなってきています。記者によると、その日の地元紙朝刊テレビ欄の他社テレビ局枠に、「大型浄水装置到着」とのニュース項目の記載があったそうなのです。テレビ欄には普段でもほとんど目を通すことはありませんが、その頃はなおさらのことです。
記者はその点について南予水道企業団へ問い合わせたそうですが、何も教えてもらえなかったということでした。そのため私に探りを入れてきたのでしょう。
ただ…、私には何のことかさっぱりわかりません。テレビ欄の内容を知らないばかりか、まさに寝耳に水。南予水道企業団からそんな情報は一切入ってきてなかったのですから。そのことを正直に伝え電話を切ったのでしたが、信じてもらえたかどうかわかりません。それより、宇和島市水道局も知らないような情報がなぜ一部の報道機関に伝わっていたのでしょうか。
これがガセネタではないとわかったのは、その約2時間後の11時、吉田の代替浄水施設建設地に何かが到着したとの知らせを、その記者からの再度の電話で知らされた時です。東京オリンピックのカヌー競技用から転用される大型浄水装置が、運搬に携わった陸上自衛隊と重車両が通る県道の応急復旧にも尽力してくれた建設業者等のおかげで、信じられない早さで現地に到着したのでした。 私は竹本事務局長へ確認しようと事務局へ電話しましたが不在です。また、携帯電話の番号を知らない私が彼を捕まえるのには、しばらくの時間が必要でした。あとで聞いたところ、この件はトップシークレット扱いとして水道局にも知らせなかったとのことです。それはそれで仕方ない事かもしれません。ただ、報道機関への連絡には南予水道企業団は係わっていないそうです。誰が情報を流したのか、ここでも見えない力が働いていたと思わざるを得ませんでした。
ー この記事の原文は水道産業新聞2021年(令和3年)5月24日版(第5498号)に掲載されたものです ー
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