三、(4)議会事務局長

第三章 一日でも早く

 

 そしてその後18時からの本庁災害対策本部会議で、私は具体的スケジュールを周知します。そのメンバーには断水区域に住む中松議会事務局長もいます。私の一つ年上の彼からは、発言を一言一句聞き逃さないような真剣な眼差しを感じます。

 この中松事務局長、私と同じ年に部長級のこの職に昇格しました。異動内示の日、想定外の電話で伝達の場に呼び出された私でしたが、その控室に入った時、そこにいたのは当時市民課長だった彼一人です。昇格など予想だにしておらずまだ戸惑いしか頭に浮かんばない私は、私を見るなりニコニコと微笑みかけてくれた彼を見て、やっと落ち着いたのです。それから彼が市長室に呼ばれるまでの間、「この順番で呼ばれたということは、中松さんが○○部長で私が○○部長でしょうかね?」などと予想し、そのわずかな時間を楽しんでいたのでしたが、蓋を開けてみると二人とも全く違う職です。そして自席に戻った私が彼に電話をし、二人で大笑いしたのを今でもハッキリと覚えています。周りの職員は何を笑っているのか意味不明だったでしょうが。

 さてそんな中松事務局長はこの災害の年が最後の年度でしたが、災害直後から退職まで吉田支所の職を兼任し、議会の調整とともに地元の復旧復興に奮闘してきたのです。発災後何かと水道局の奮闘を気にかけ、また我々の動きを大きく評価・激励もしてくれ、こののちも私に心の安定を与えてくれる大きな存在となっていきます。

ー この記事の原文は水道産業新聞2021年(令和3年)7月5日版(第5509号)に掲載されたものです ー


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*登場する人物や組織に対する私の意見・感想は、個々の評価を意図したものではありません。また、臨場感を伴わせて全容をお伝えするために人名を記載していますが、文面に対する人それぞれの捉え方に配慮し全て仮名としています。ご理解のほどよろしくお願いいたします。

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