五、(4)本庁災害対策本部会議の縮小

第三章 一日でも早く

 

 この日の本庁災害対策本部会議では、もう一つ私の神経を逆なですることがありました。

 次回からは、本庁災害対策本部会議を月曜日と金曜日週二回のみにするとの提案が市長からあったのです。まだ断水解消に向けた作業は進行中です。発災前から常日頃水道局に対して好意的な市長です。でもこの判断は、応急給水・応急復旧で日夜奮闘している水道局職員の士気に影響するため時期尚早ではないか。本庁の温度差がこんなに違うのなら、野際部長のような思考が生まれても仕方ない。私はそう感じたのです。

 帰局後この件を伝えた相手は両課長のみでしたが、やはり彼等も同じ感情を覚えたようです。ただ一つ、彼らに伝えた言葉に付け加えたのは、この事を会議で発表する前、市長は事前に私に耳打ちをしてくれていたことでした。私や水道局の職員たちがどう感じるのかについて理解し、災害対応全体のバランスを考えたうえでの判断だったことを。でも…。

 なお生活用水の応急給水拠点問題については、翌朝8時40分の三宮水産課長からの電話で一応の決着を見ることとなりました。災害対策本部会議終了後、野際部長が実働部隊の水産課と相談したのでしょう。地元から撤収要求があった箇所や利用実績が低い箇所に限った撤収という形で。

 ただ水の全体事情は、水道局でなければ分からない事が多々あります。そのため事前協議の徹底は再要請しました。それで三宮課長も私もお互い納得です。水産課も諸事バランスを取りながらの判断だったに違いありません。でも横の連絡が途切れると何もかもが破綻してしまう、この件でそんな教訓を再認識することができました。

 なおこの翌年、海底送水管破断事故で離島への送水が止まった時、水道局はこのシステムを応用して生活用水を水産業関係者に運んでもらったのでした。そしてこの時の水産課の苦労を体験することになったのです。ここではその具体的な内容は省略しますが。

ー この記事の原文は水道産業新聞2021年(令和3年)10月11日版(第5531号)に掲載されたものです ー


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