三、(9)平成30年台風第21号

第四章 新たな闘い

 猛暑が続いた8月も終わり、9月に入ると急に秋風が吹き始めていました。台風が近づいていた影響だったのかもしれません。

 その台風は第21号、非常に強い勢力を保ったまま日本列島、しかも四国へ近づいていました。そのため8月下旬の第20号同様、応急給水所の暴風雨対策や警報発令時における運営体制の縮小など、警戒レベルを最大にする必要がありました。

 実際に台風第21号は、列島に大きな被害をもたらせました。9月4日正午頃、950hPaという近年にない勢力で徳島県南部に上陸し、瞬間最大風速は和歌山市で57・4㍍、関西国際空港が立地する関空島にいたっては58・1㍍という記録的な暴風に襲われました。14名の尊い命を奪ったこの台風は高潮も発生させ、その影響で関西国際空港は浸水してその機能を失いました。また暴風で流されたタンカーが連絡橋に衝突し、その一部が破損したことで長期にわたる鉄道の運休や車両の通行止めが発生したのは、皆さまも記憶に新しいところでしょう。

 宇和島市は台風第20号同様に台風進路の左側に位置したことで、今回も最悪の状況から逃れることができました。近畿地方などでの大きな被害を考えると前回同様複雑な心境でしたが、宇和島へ来なくて良かったというのが当時の正直な気持ちです。

 なお、前日から閉鎖していた三間地域の応急給水所は、シルバー人材センターと三間支所からの応援によって運営要員確保の見込みがたったことから、台風通過後の同日17時から再開することができました。

ー この記事の原文は水道産業新聞2022年(令和4年)2月14日版(第5560号)に掲載されたものです ー


《無断転載はお断りいたします。》

*登場する人物や組織に対する私の意見・感想は、個々の評価を意図したものではありません。また、臨場感を伴わせて全容をお伝えするために人名を記載していますが、文面に対する人それぞれの捉え方に配慮し全て仮名としています。ご理解のほどよろしくお願いいたします。

コメント

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました