話を前日に戻します。松山市の日吉課長が、私の部屋から応急給水本部のある浄水棟2階会議室へ戻ってしばらくし、私は本庁へ向かいました。市長室で10時から行われる〝記者クラブとの懇談会(通称記者コン)〟へ出席するためです。
定刻に始まった記者コンでは、いつも通り市長からのあいさつや各課からの報告・周知のあとで質疑応答が始まりました。水道局に関する情報はこれまでニュースリリースで必要に応じ提供し、そしてそれに伴う質問も個別に対応していたため、私からの新たな報告や記者からの個別の質問もありません。
ただ、全般的な要望の中に水道局に関連するものが一点だけありました。これまで行ってきたニュースリリース発出のタイミングでは、夕方のニュースに間に合わないというのです。確かに発表が20時だったこともありました。私は回答する立場ではなかったのでしたが、その要望を出した記者と目が合ったので意識的に口角を上げたうえ無言で2度頷きました。
そして、外部組織であるため記者コンメンバーからは外れる南予水道企業団について、ある要望が地元テレビ局から出ました。話を聞いていると、どうやら問い合わせに対する企業団の対応が悪いというのです。極限状態の企業団ですから、おそらく電話を受けた際に心の余裕が無かったのでしょう。
私はそれを言いかけたのでしたが、ぐっと飲み込んで私から伝えておくことを笑顔で答えたのです。記者と事を構えて得することはありません。ある程度のことまでならば、笑顔一つが一番の答えです。その場に出席していた記者の大半は、取材相手の立場を尊重した上で行動してくれている、私はそう感じていましたので尚更です。ただし某社だけは…、いやこのことには触れないでおきましょう。
さて、この日は金曜日でした。先ほど要望を受けたニュースリリース発出のタイミングの件で、帰局後私は市長公室の木場補佐へ電話をしました。翌日からの週末に水質が基準を満たした際、どのような段取りでニュースリリースを作成し配布を行うかについて打ち合わせするために。水質検査の結果は毎日届いていたため、合格した際のことを考慮して発出担当の市長公室職員も休日出勤すること、また、文案についても事前に市長まで確認を取っておくことにしました。結果的には両者ともに必要なかったのでしたが…。
ー この記事の原文は水道産業新聞2021年(令和3年)12月16日版(第5547号)に掲載されたものです ー
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