奥白井谷地区での応急復旧が終わり、市内全域での断水が解消されたのがこの日の18時のことでした。
それを受け翌17日午前8時45分、松山市の日吉課長が私の部屋を訪れました。支援体制をもう一段階縮小することを私に提案するためにです。
この時点での日水協からの支援は、飲用制限が続く三間地域内各応急給水所への充水作業だけとなっていました。しかもその水量は日に日に減少していたのです。翌日18日の正午をもって給水車の配備を2台に減らすという提案に、私は即答で同意しました。
ある三間地域内の知人からは、蛇口からの水道水をそのまま調理に使用するだけでなく、平気で飲んでいる人も多いようだと聞かされていました。水量減少の背景にはそういう実態があったのでしょう。
消毒副生成物の基準値超過はわずかで、しかも日本より甘いながらもWHOの基準には収まっています。我々も本心としては、短期間であれば健康被害は無いとの思いを持ってはいたのですが、それを口に出せば水道事業者として終わってしまいます。一方で、我々が公表した検査結果の値を元に、自己判断の上で飲用している人が三間地域にいたのです。
その事実を我々はどう受け入れるべきか、それに対し我々は〝静観〟という答えを出しました。飲用の制限はきちんと周知しています。また、消毒副生成物の検査結果もその基準値とともに公表しています。皆さまならこのような状況下、どういう答えを出されるでしょうか。
さて8月18日、給水支援を続けてくれていた今治市と新居浜市が、任務を終了し帰路に就きました。私は所用で外出していましたので、残念ながら見送ることができませんでした。これで日水協からの支援は松山市だけです。
ー この記事の原文は水道産業新聞2021年(令和3年)12月16日版(第5547号)に掲載されたものです ー
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